「鏡」
僕の家のベランダにはシュガーバインがある
かれこれ10年くらいになるのかな
大学2年の頃に貰ったはずだからそのくらいだね
毎朝起きたらベランダに行きシュガーバインに水をあげる
これを10年続けていたら考えなくても出来るようになった
考えなくても出来るようになった反面、昔は出来ていた"心を込めて"水をあげるということが出来なくなっていた
シュガーバインは好きだ
10年も育てていたら愛着の1つ2つくらい湧く
ただ、愛着はあるのにやっている事が機械化してしまっている
これに気づいた時、いつも何気なく見ていたシュガーバインがなんだか元気がないように見えた
いつもダラーンとしてるやつだけど、さらにダラーンとしているように見えた
その時からは心を込めて水をあげるようにした
凍結していた心が溶けだすような気持ちで
そしたら幾分かシャキッとしたように見えた
まるで僕の心を映す鏡のように
まあ、ダラーンとしていることに変わりはないんだけど